過去のあなたと

06


 兄は悔し気に六花を睨むが、彼に許される台詞はひとつしかない。

「…っ、ッ、ぱ、パパのぉち…ちん、だと思ってるから、…したい、だけ…」

「そうだったね。意地悪なことを言ってごめんよ。ほら、『パパ』のおちんちん、根元までちゅうちゅうしようか。お仕事中の『パパ』が気持ち良くて手が止まっちゃうくらいの」

「んぶっ!? んぐっ、ッぐゥうッ!」
「ああ本当に『遊糸くん』のお口気持ちいい…っほら、ベロでおちんちんしゃぶって、えっち汁も吸って」

 強制的にイラマチオして、涙目になる遊糸の顔をアップで撮る。それでも懸命に命令をこなそうと口を使うのが淫猥だ。


 ぢゅぼっ、ぢゅぷっ、ぢゅぷッ!

 れろっ…れろっ、れろっ、れろっ、
 ぢゅっ、ぢゅっぢゅぅッ


 もう一台のカメラは、ローションに濡れてくぱくぱと刺激を求めて喘ぐ蕾を大写しにして。
 ぢゅぱ…っ、と音を立てて兄の口を陰茎から離して、六花は仕上げに入る。
 肩で息をする遊糸に、優しく笑う。


「本当に『遊糸くん』はパパが好きだね。『パパ』のおちんちんちゅうちゅうして、こんなにいやらしくおしりの孔に欲しがるなんて」
「ぁっ…」


 『悪戯』の仕方は六花も承知している。蕾に指を少しだけ挿れ、抜いて、散々表面を撫でたあと、襞を丁寧に解すようにして指で、入り口を何度も行き来する。

 途端にざぁっと血の気が引いて硬直した遊糸を後ろから抱え上げ、『悪戯』を受け続ける蕾を録画する。
 相手が『橘大輔』──実父でなければ絶対になかった、幼少期の『悪戯』。


「…ぱ、ぱ…」

 そう。
 『あの時の遊糸』を『パパ』が犯してあげる。
 父のペ○スができなかったことを、六花がしてあげる。


 ヌチ…ヌチ…

「『パパ』はいつもこうして遊糸のおしり気持ちよくしてあげてるものな」

「ぁ…ゃ、ゃだ…ぱぱ…ゆ、ゆうし、それ…」


 マイクが拾わない程度の掠れ声で兄が言うのを、六花は微笑んで聞く。知ってるよ。こわいよね。
 でも、やめてあげない。

 六花はしっかりと『悪戯』を続けて、御無沙汰になっている上に緊張で強張っている蕾を解し続ける。


(…正直、ここまでとは思ってなかったな)



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