03... | ナノ

「よし、よし」

足早に校舎をあとにする。小躍りしてしまいそうなくらい嬉しいからだ
よし、決まった


03...


バタン、と暗闇の中、家の扉を開ける。ひとり暮らしの部屋はいつも暗いから、転ばないか不安だ
玄関の電気を手で探して付け、靴を脱いで揃える
いつもしている動作なのに、今日はなぜかそれだけでも緊張していた

「…ただいま」

今度はリビングの電気を付ける。これもまたドキドキと胸が高鳴っていた

制服のままソファに腰をおろし、鞄の中から眼鏡とパンフレットを取り出す
真っ赤な髪の校則違反野郎、ではなく、旦那からもらった
彼のズボンのポケットに入っていたせいか皺くちゃだが、気にしない
パンフレットを広げて、眼鏡をかけて、読みはじめる

(旦那の高校…)

霧隠れにある血霧高校か。なんか名前をみてもすごく不安になるのだが、大丈夫かな
とりあえず、読み切ってみよう


霧隠れ血霧高校――血霧の里にとっては初の学校で、生徒数はまだ少ない
他の隠れ里から来たものには、寮制となっており無駄な行き来は皆無。しかし親からの承諾が必要
男女どちらでも入学可能、受験方法はペーパーテスト・推薦
推薦は運動部・スポーツクラブでなんらかの大会で優勝した生徒のみが受けられる

(…推薦は、無理、だな)

オイラは文化部だったし
推薦で限られることってあるんだ。関わるのは成績くらいだと思っていたが、読みが浅かった。成績は全体的にみてもあまり関係ないらしい
不思議な高校だ

さて、さらに続きを読まないと――

(ってあれ、なんだか眠く…)





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