「信じられない」


放心状態だったアキはそのまま10分ほど動かなかったが、意識がはっきりしてきたのかまともに喋れるようになった。出てきた言葉は思ったとおりだった。

「お前、ホモだったの?」
悲しみや困惑や怒りが混ざった表情でまだ立ち上がれないのか横になったまま尋ねて来る。

「ホモじゃないよ」
「ホモじゃん」
「アキだから好きなんだよ」
「それって、男が好きって事だろ」
「…まあ」

ぎゅ、と被っている布を掴む音が聞こえた。
今のアキは、怒りに満ちた表情だ。

「お前が、俺をそんな風に見てるとは全然思わなかった。おれは、お前を親友だと思ってた。」
「…アキ」

「触んな!!!」

手を弾かれた訳でもないが、怒鳴られて触れることが出来なくなった。こうなる事は勿論予想していたが、もうあの関係に戻れないのか、と冷静になって改めて考えると急に心臓が跳ねる様にドキドキして、上手く呼吸が出来なくなる。

「そんな目で見てて、ずっと友達のフリして、…お前、気持ち悪い」
「アキ…俺は」
「もういいよ。お前がそういう奴だって、分かったから。もう俺帰る」

そういってアキは毛布でさっさと体を拭いて、立ち上がろうとした。

「―――――ッぅ…!!!!」

やはり、先程の行為の後で違和感があるのだろうか。アキはクソ、と小さく声を漏らした。





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