ぐうの音も出ないね。



「なまえちゃぁぁあ〜ん!!」
陽だまりの中、愛しい背中を見つけて抱きついた。
「びっ…くりした!ちょっと!善逸!!」
「なまえちゃん!今日もかわいいね!!」
両手いっぱいの花を差し出す。
「俺と結婚してください!!」
「いやしないよ」
何度目よこのくだり、とため息をつかれた。
え!やめてよ!?その冷め切った目はやめて!!
「お花だけでも受け取ってよぉお!足りない!?足りないのね!?じゃあ俺の全部あげるからさぁあ!!」
「いらない」
つん、と返事したあとに、俺を見てなまえちゃんはぷはっと困った顔で笑った。「そんな泣きそうな顔しないでよ〜善逸!」そう言ってくしゃくしゃと頭を撫でられる。全く男として見てないよね!?俺泣くよ!?!?こんなに毎日好きって言ってるのに!!
優しい目は細められたまま、俺を見つめていた。

お花をあげるのは何回目だろう。お菓子なんて山ほどあげてるのに太らないんだから、きっと俺があげたものは誰かの腹に収まってるんだ。悔しいな、悲しいっていうか俺が命かけて稼いだお金で買ったものがなまえちゃん以外の人に渡ってるって理不尽すぎじゃない?
なまえちゃんが欲しいものってなんだろう。お花もお菓子も簪も、女の子が好きそうなもの手当たり次第あげてるのに…しまいには血迷って、最近じゃ俺の全部あげる!なんて言ってるのにねぇ!!いらないって言われりゃそれまでですよ!!!!ていうかこれ軽くプロポーズだよね!?プロポーズなんだよね実は!?!?気づかれてないけどね!!!!ぐうの音も出ないってまさにこのことだよ。俺はきみのことすっごいすっごい好きなのに、きみは別に俺のこと好きじゃないみたいだし。自分で言ってて悲しくなってきた…答えは簡単なんだよなぁ、お花もお菓子も簪も、俺自身も、なまえちゃんが俺のこと好きになってくれなきゃ意味が無いんだ。糠に釘。のれんに腕押し。
だけどさ、きみの笑った顔がすごい好きなんだ。一目惚れだったんだ。君の心臓の音が他の人と違って聞こえるくらい、俺も馬鹿になっちゃってるんだ。君のこと色んな人に聞きまくって、彼氏も好きな人もいないってのに、少しも靡かないよね、そっか好みじゃないのね!もう絶望しかないよ!!押してダメなら引いてみろって、引いたところで気づかれもしないんだよねきっと!!!!
もうさ、気が済むまで好きでいるからさ。
俺馬鹿だから、もうやけくそだ!って馬鹿なふりして毎日君に好きって言うよ。
君が好きって気持ちが身体中パンパンになっててちょっと苦しいけどね、でもさ、俺が好きって言うと、君の心臓がくすぐったそうに鳴るんだよね。たぶんこれは君も知らない、俺しか知らないことだよ。


B/G/M
僕/は/君/の/事/が/好/き/だ/け/ど/君/は/僕/を/別/に/好/き/じ/ゃ/な/い/み/た/い/(buck/number)




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