※微裏につき、御注意!








「う……あ?」
「……っ」


これは、どういうことや。

毎朝のお務めの為に、俺の目覚ましは5時に鳴る。けど今は、どうやらまだ夜中のようで、カーテンの向こうは真っ暗だ。昨夜はそれなりに疲れて床についたし、ではなぜこんな時間に目が覚めたかというと。


「★…?お前、なにしとん…?」
「……柔造…堪忍え?」
「へ?、んっ」

俺の腹の上に、恋人がまたがっていて。とろんととろけた表情で、妖しく俺を見下ろしていた。戸惑っていれば小さく俺の名を呟いて、柔らかい唇が俺のそれに降ってきた。
普段の彼女はここまで積極的なことはなくて、まるて別人だ。でも突然のキスで、その理由に気付く。


「……酔うとるな?」
「うん、ちょおーっとだけね?」

小首を傾げる彼女は至極楽しそうだ。それに反して、俺は浅く溜め息を落とす。


「こんな時間まで、誰と飲んでたん?」

素朴な疑問だが、一番大事なことだ。


「きんぞー」
「はぁ?」

ピキ、と額に力が入る。金造と★は同級生で仲が良いのは分かっている。でもいくら弟とはいえ深夜まで飲んでた相手が男だと言われて平静ではいられない。


「で、金造は」
「ふらっふらやから送ってきてあげてん」


…それで家にいるわけか。


「金造はそっこう寝てしもたし、私も帰らなあかんなーと思たんやけどぉ、柔造に会いたくなってな?」

すこし舌足らずで語尾を伸ばす★はいつもよりずっと隙だらけだ。
……こんなんで金造と飲んでたっちゅうことか。


「ちょおーっと顔見たら帰るつもりやったんけど、顔見たらちゅうしたくなってなあ?」

ふふふと笑う彼女は幸せそうだ。
そして言うてることが可愛すぎる。こんなに素直なのは、やっぱりアルコールのおかげなのだろう。


「そんでなんか気付いたら柔造に乗っかっててん」

にこ、と無邪気に笑う★。
なんやもうどうでもよおなってきた。


「……で?」
「え?うーん、……起こしてごめんね?」
「それはええわ。ちゃあんと詫びいれてくれんねやろ?」
「せやからぁ、ごめんて」
「ちゃうわ。責任取ってくれるんやろ?」
「せきにん?」


とろけた彼女に跨がられて、すっかり目覚めた頭と興奮に素直に体温を上げた身体。


「おん、みんな寝とるし、頑張って静かにな?」
「え?」


細い腕を引いてバランスを崩した彼女を息もつかせず組敷けば。


「………あかんわ」
「えー?なにが?」


月明かりに浮かぶ白い肌と潤んだ目は、明らかに雄を誘うもので。


「途中で寝ても止めんからな」
「うーん」


くすくす笑う彼女はまだ酔いが抜けないらしい。



「そんなら、」
「ん?」
「いーっぱい気持ちよくしたってな?」
「……上等や」

上目遣いにガツンとやられた俺は、止まることのない熱を孕んで彼女の喉元に噛みついた。







ブレーキ破損中
(酔っぱらいの誘惑)




「ん、柔造…っ」
「あー、でも金造はどつかないかんな」
「………っ、そこで喋んない、で」
「ん?なんやて?」
「だめ、……っあ、」




20120614












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