*現パロ
















「あ、」
「おお」

学校からの帰り道、駅につく前にコンビニに入ったら、ちょっと久しぶりの顔を見つけた。

「久しぶりだね、ロー!」
「つっても半月くらいだけどな…」

ATMのところから出てきた幼馴染みは、これから店内を回るらしい。わたしたちはごく自然に並んで歩いた。


ローとわたしは、産まれたときから幼馴染み。母親同士が高校の同級生で、今でもとても仲が良い。そのため私たちは歩き出す前から一緒に遊んで、中学卒業までずっと同じクラスだった。でも高校からは別々で、今ローは名門大学の医学部へ、わたしは私立大の文学部に通っている。大学は割と近くで、わたしたちは互いに一人暮らしだ。


「半月くらい?なんかもっと長く感じるな」
「…いい加減俺離れしろよ」
「えー」

ローがコンビニで選ぶのはいつもブラックコーヒー。香りがいいからといつも同じやつだ。わたしがそれを取って渡したら、わたしがいつも買う紅茶が返ってきた。

小さい頃は本気でローと家族だと思ってたくらい、わたしはローが大好きだった。高校が別々と知ったとき、すごく寂しかった。
それからローはわたしにやたらと「俺離れしろ」と意地悪に言うようになった。


「あ、ロー離れといえばね」
「ん?」
「こないだ、合コン行ったの!初めて!」
「…ああ?」
「ナミに相談したら、幼馴染みから離れるには兎にも角にも彼氏を作れ!って言うからさ」
「…あいつの言うことは鵜呑みにするなって言ってんだろ」
「んーでも、楽しかったよ、みんな面白かったし」
「まさか持ち帰られてねェだろうな」
「……気になる?」
「保護者としてはな」
「男としてはー?」
「あ、ティラミス」
「え!買う!」

せっかくカマをかけたのに、いつものようにはぐらかされた。
でもこのコンビニのティラミスは人気でなかなか出会えないから、とりあえず即お買い上げだ。


「ほら、貸せ」

レジにつくと、わたしの持ってた商品も一緒に会計してくれる。いつもそう。


「払うよ?」
「俺はコンビニで女に金出させるほどケチじゃねェよ」
「そういうのは女の子にしなよー」
「お前が男だったとは初耳だな」
「だってどっちかっていうと妹でしょう」

ちょっと拗ねたようにいえば、フンと口角を上げるローは意地悪だ。


「ありがと。もう帰るの?」
「これからバイト」
「ふーん、頑張ってね」
「おう」

またね、と手を振って、わたしは駅へ歩き出す。


「あ、★」
「うん?」
「合コンは行くな」
「え」
「行くな。わかったな」
「でも」
「…お前が男といると思うとムカつく」
「え」
「じゃあな」
「ちょ、ロー、」


珍しいローの本気の眼に、わたしはしばらく動かなかった。





(もう家族なんかじゃないよ)



20130302









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