目を開けたら見慣れた天井が見えた。そりゃそーだ。おはようございます。今日も寒い朝だったのだけど、隣にある体温のせいかそこまで寒くも感じない。ああそうだ、昨晩はなんか押しかけられて、そのままご宿泊なされたのでした。 そいつはもうとっくに目覚めていたらしくばっちり眼鏡までかけた上で私を見ていた。なんだこいつ、ちくしょう。 「俺様を待たせるたァいい度胸じゃねぇか」 「起こせば良かったでしょ」 「やたら色っぽい顔で寝てやがったからなァ、見てるだけでそれなりに楽しませては貰ったぜェ」 それはきっと夢の所為。私の顔が火照って赤いのも。多分寒さを感じないのも本当は夢の所為なのかもしれない。 「えっちな夢みた」 「へェ、どんなだい?」 すごく幸せで優しい行為だった。心が満たされるようなそんなもの。夢は願望の現れとはよく言ったもので、現実の根暗で陰湿鬼畜曹長様では考えられない想像できない。 「ちなみに相手はサブロー君でした」 「サブロー、ねェ…。悪かったなア」 「…はい?」 なんだか新鮮な反応に(だって、この男は謝らない。)驚いてクルルを見たら、降ってきた唇があまりにも優しかったからまた驚いた。いま私にキスしたのは、クルル曹長で間違いないか?私をやさしく抱きしめたのは、だれだ? 「すげェ失礼なこと考えてねェかァ?」 「いや、だって、えええ」 「ククッ、俺様だってやれば出来んだよ」 昨晩は疲れきってなんの相手もせずに眠ってしまったから、きっと今朝はひどい目にあわされる、そう覚悟していた矢先のこれだった。言ってみるもんだな。 「夢ン中でどうされたのか言えるかい?」 「えええやだ」 「俺様の機嫌損ねんじゃねェぞ」 「…はい、おねがいします」 *** まあ、夢の相手はほんとはサブロー君じゃなかったんだけど。 |