天気の良い休日。ちょうどお昼時。夏美もいないし、冬樹もいないし、アポなしで突撃するもんじゃないなと反省した。ああ、お腹減ったな。


「ギロロくんギロロくん」


それでもおうちに入れたのは、お庭で留守番してた赤いののおかげなんだけれど。あとまあ、親戚故の信頼かな。


「なんだ」
「最近駅前に美味しいカレー屋さん出来たんだけど一緒に行かない?」
「カレーか、俺は遠慮しておこう」


まあ、言ってみただけですけれど。大体あんな不思議生命物体連れて歩くのは…どうなんだろう。いつも夏美ちゃんたちはどうしてるのかな。


「代わりに奴が来るだろう」


ちょっと待っていろ、って言われたけど意味が分からないよ私は。奴って誰だ!そしてギロロくんは特に誰を呼びつけたわけじゃない。何故そうタイミングよく…って、ん?


「お呼びかーい?」
「ど、どなた」


ふっと現れた(まじで気付かなかった)お兄さんは、ふわふわの金髪の瓶底眼鏡さんだった。誰かを思い出す、ような…


「あ、クルルさんだ!」
「ピンポーン」


その顔色悪いお兄さんは、クルルさんそのものをまんま人にした感じだった。ニヤッと笑った口元とか。


「さっさと行こうぜぇ」


え、どこに?その白衣は着たままなの?


「カレー屋、連れてってくれるんだろォ」


ククッと笑った特徴的な声は正にクルルさんだから、なんかおもしろい。すごい違和感。


「一緒に行ってくれるの!」
「カレーならなァ」


どうやら黄色いお約束で、クルルさんはカレーが好きなようだ。いつも背負ってるおもたーい暗いオーラが心なしか軽そうだもの。ご機嫌なのかしら。


「やった!、じゃあギロロくん、いってきます!」


先に玄関へ向かうクルルさんの背中に、あんな真っ白な白衣カレーで汚れたら格好悪いなとひとつ心配した。





***
眼鏡外したらすごく格好良かったりして