可愛い可愛い俺の後輩は、俺の教え子を好きだと言う。しかもなに、おいろけの?それ、女の子じゃーないの。 「え、なに、どこが好きなの?」 「んー、そうですねえ、…ツインテールって可愛いですよね!」 …髪型?え、それだけ?思わずぽかんとそいつを見れば、俺を見てたはずの視線が俺の背後にうつる。なに、何かいるの? 「ナルト君!」 「何やってんだってばよ?せんせーたち!」 げ。噂をすればナルトがそこにいた。また話がこじれそうだな、勘弁してちょーだいよ。 「今ナルト君の話してたんだよー」 「おお!俺ってばやっぱり人気者!?」 いや、これは逆にチャンスととったらいいんじゃないか?古い表現であるならば豆電球がピコーンってつくアレだ。ひらめいた。 「…ナルト」 ちょっと低めに言ってやれば、なんだってばよと身構えられた。別に何も叱りゃあしなーいよ。 「おいろけの術、やってみてくれない?」 このお願いに、ナルトが満足そうにニヤニヤしてるのは分かるけど(きっと自分の術を認めてもらえたと思って喜んでるんでしょうよ、多分)、なんでなまえまで嬉しそーっにしてるわけ。…いや、分かるけど。分かりたく無かった。 「お安い御用だってばよっ!」 そんな期待の目でナルトを見ないでよ。ほんとに俺はなまえにとってアウトオブ眼中なのかもしれない。でも、なまえのこと諦めるつもりはないから、ちょっとプライド捨てさせてもらうよ。 「おいろけの術っ!」 ぼんっとケムリが舞い、ナルトの姿は噂の金髪ツインテール美少女。まあ、確かに可愛いんだとは思う。思いはするのだけど。 ぐいっと、隠された左目を外気にさらした。こんな事の為にあるんじゃないんだけどね、写輪眼。 「きゃーっ、ナルト君可愛いー!ね、先輩!…せんぱい?」 「伊達にコピー忍者って呼ばれてないのよ」 腹はくくった。やってやろうじゃないか。 「おいろけの術!」 ぼんっ、その音とともに俺のそれなりに鍛え上げられた肉体(言い過ぎたかも)は跡形も無く消えて、変わりに丸みを帯びた柔らかな身体に変わった。自分の身体には別にいらないんだけど、これで彼女が手に入るならそれでいいじゃないか。この状況下ではしょうがない。 「か、カカシ先輩…」 ナルトと一緒に目を見開くなまえの表情からはまだ何も読めない。お望みの通りツインテールにはなっているはずだが、これで駄目なら…流石に恥ずかしくてもう外出出来ない。 「可愛いいいい!!!」 ぱああと輝かせた顔を見せたかと思いきや、がばーと抱き付かれてしまった。というかこの子谷間にうずまってんだけど、それでいいわけ? 「えへへー、先輩柔らかあい…」 すごーく幸せそうに呟くもんだから、まあ、いっか。とりあえず写輪眼まで使った意味はあったって事でしょ。ほんと、良かった。(後々噂になんかなったりしたら…!恐ろしい) 「せんぱぁい…」 胸元から色っぽいオネダリ声(に俺には聞こえた)がした。ほんのり赤く火照った顔でこっち見てるんだけど、え、可愛すぎる。から、思わず。 「その軽ーいお口、塞いであげる」 可愛い可愛いって、俺以外の奴の事ばっかり言う生意気な口をね。女体になってもばっちり装備していたマスクをちょっとずらして、一瞬だけ、触れるだけ。ただそれだけなのに、顔を真っ赤にして、あれ、そんなに恥ずかしがり屋さんだっけ? 「…先生、必死過ぎだってばよ」 「なんとでも言ってちょーだい」 ナルトが(いや、この場合ナル子が?)じとーとこっちを見てくるからニヤリとし返してやった。結果オーライ、ってやつでしょ。もう必要ないと思ったのか、ナルトはぽんと術を解き呟いた。 「ラーメン」 「いくらでも食わせてやるよ」 今回ばかりはナルトのおかげだよ。俺も上機嫌だし、ラーメンくらい奢ってやろう。 ま、俺の胸に抱きついたまま離れない(自分赤い顔を隠したいからだと思いたい)、こいつが離れてくれたらだけどね。 とりあえず、術が解けて元の俺に戻っても俺にくっついたままだったから、良しという事で。 *** それよりもっかいちゅーしていい?(おいろけの時だけなんて、嫌すぎる) |